2026-09-05
オイルシールのゴム材質選定を誤ると、早期破損の最大要因になります。棚では見た目が同じでも、実使用では NBR・FKM・EPDM の差は非常に大きくなります。本稿では、現場で迷わないための実用的な選定手順を整理します。
NBR(ニトリル) — 定番材。-40 °C~+120 °C。石油系油・鉱物油・グリースに最適。安価で入手性◎。エンジン・ギアボックス・油圧の大多数でデフォルト選定。
FKM(Viton®、フッ素ゴム) — 高温・化学品向け。-25 °C~+200 °C(一部 +230 °C)。合成油・燃料・化学品に強いため、NBR が持たない過酷条件で活躍。価格は NBR の3~8倍。
EPDM(エチレンプロピレン) — 極性流体・低温向け。-50 °C~+150 °C。水・蒸気・ブレーキ液(DOT 3/4/5.1)・リン酸エステル系作動油(HFD-R)に最適。鉱物油は×。
常用温度が100 °C未満・鉱物油なら、価格差を考えれば NBR が最有力。130 °Cを超える環境では NBR は硬化・亀裂するため、FKM に切り替えます。
「FKM のほうが良い」と考えて FKM を指定しがちですが、産業用シールの9割はオーバースペックです。高温または化学品適合が必要なときだけ FKM を指定しましょう。
3材質いずれも 70・Shore A が標準。高圧用には 80 または 90・Shore A を用意。リップ内にはガータースプリング。10 bar を超える圧力では PTFE または POM のバックアップリング併用を推奨します。
まとめ: (a)流体、(b)温度、の2点で材質を選定。迷ったら稼働条件を教えてください。標準は NBR、高温・化学品は FKM、水/蒸気/ブレーキ液は EPDM をご提案します。